第1回|隣の人のお財布をデザインしよう!¶
〜デザイン思考5ステップの体験版〜
🎯 今日のゴール¶
デザイン思考の5つのステップ「共感・定義・発想・プロトタイプ・テスト」を 50分で1周体験 する。
🕰️ 今日のタイムライン¶
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 5分 | 挨拶・ロードマップ |
| 3分 | 5ステップについて |
| 6分 | 共感:隣の人の財布インタビュー |
| 5分 | 定義:課題を1文でまとめる |
| 6分 | 発想:ブレインストーミング10枚 |
| 7分 | プロトタイプ:二つ折りスケッチ |
| 7分 | テスト:★(良い点)/△(改善点)のフィードバック交換 |
| 5分 | クロージング・次回予告 |
用語¶
- HMW(How Might We):「どうすれば私たちは〜できるだろうか?」という問いの形で課題を書く方法(詳しくは 4章)
お題¶
「隣の人のお財布をデザインしよう!」¶
身近で、誰もが使っていて、短時間でインタビューできるお財布を題材に、5ステップを一気に体験します。
1. ⏱ 5分|挨拶・ロードマップ¶
やること(ペア)¶
- 2人組 になる
- なったら 自己紹介:名前、クラス、趣味や部活など
- アイスブレイク:「あなたのお財布で気に入っているポイント1つ」 を30秒で話す(聞き手は付箋にメモ)
- 講師の自己紹介と、今日の流れを確認
3人組になった場合
- 3章 共感インタビュー:2分ずつ交代 で全員が話し手を経験(計6分)
- 7章 テスト:1人のプロトに残り2人が★と△を付箋で渡す。2分ずつ3人分 で一巡(計6〜7分)
- その他(2章/4章/5章/6章)は個人作業が中心なので、2人組と同じ進め方でOK
2. ⏱ 3分|5ステップについて¶
デザイン思考とは¶
デザイン思考 は、ユーザーの視点 に立って課題を見つけ、試しながら改善 していく思考法です。前例のない問題に対しても、5つのステップを 繰り返し回す ことで答えを磨き、最適な解決策に近づきます。
5つのステップ¶
| # | ステップ | やること |
|---|---|---|
| 1 | 共感(Empathize) | ユーザーが何を求め考えているか観察・共感し(なりきり)、ニーズを探る |
| 2 | 定義(Define) | 調べたことをまとめ、ユーザーの真のニーズを洗い出し、問題を定義する |
| 3 | 発想(Ideate) | 定義された問題に対し自由に意見を交換して、具体的にどうアプローチするか考える |
| 4 | プロトタイプ(Prototype) | 試作品を作ってアイデアを具現化し、機能性・効果・実現性について検討する |
| 5 | テスト(Test) | ユーザーに実際に使ってみてもらい検証し、改善点を探って最終的な解決策を目指す |
重要ポイント
これは 1周で終わり ではありません。失敗して学び、また回す のがデザイン思考の本質。今日の演習は、このサイクルを 高速で1回転 します。
3. ⏱ 6分|共感:隣の人の財布インタビュー¶
やること(ペア)¶
- ターゲット は「隣の人のお財布」
- 以下の 3軸で深掘り インタビュー:
- いつ 使う?(シーン)
- なぜ 不便なところはある?なぜ不便に感じる?(原因)
- 理想 はどんな感じ?(願望)
- 3分ずつ交代 で聞き役・話し役を入れ替える(計6分)
聞き手のコツ¶
- メモに徹する — 評価や提案はまだ口に出さない
- 5秒待つ — 沈黙はチャンス。本音が出やすい
- 具体例を引き出す — 「昨日はどうだった?」
- ジェスチャーを観察 — 言葉より身体がヒントになることも
NGワード
- 「それはこうすればいいよ」→ まだアイデアを出すステップではない
- 「あ、わかる!私もこないだ〜」→ 相手の話が止まってしまう
4. ⏱ 5分|定義:課題を1文でまとめる¶
やること(個人)¶
1人1枚ずつ、今聞き取った悩みを 付箋に1文 で書く。 書き方は HMW(How Might We)形式:
どうすれば私たちは〜できるだろうか?
- 一番刺さった悩み1つでもOK
- いくつかの悩みを1つにまとめたものでもOK
HMW(How Might We)とは¶
「どうすれば私たちは〜できるだろうか?」という 問いの形 で課題を書く方法です。
悩みをそのまま書くと愚痴で止まりますが、問いにすると自然に「じゃあどうする?」と次のアイデアに繋がります。
良いHMWのコツ¶
- 具体的 に(範囲が広すぎない)
- 短く1文 で
- ユーザー視点 で(相手のための問い)
例¶
良い例
- 「どうすれば私たちは、カフェで必要なカードを素早く取り出せる だろうか?」
- 「どうすれば私たちは、お釣りが財布でかさばらない ようにできるだろうか?」
悪い例
- 「財布をもっと便利にしたい」(問いの形になっていない)
- 「どうすれば私たちは世界平和を達成できるだろうか?」(抽象的すぎ・範囲が広すぎ)
書けたら、ペアで共有して互いにフィードバック。
5. ⏱ 6分|発想:ブレインストーミング10枚¶
やること(個人)¶
書いたHMWに対して、解決アイデアを付箋にブレインストーミング。
- 30秒で最低5枚、その後 3分で10枚 を目標
- 付箋1枚に1アイデア
- 「奇抜すぎかも」と思うアイデアも 遠慮せず書く
そのあと(ペア)¶
3分でお互いにシェア しながら、相手のアイデアに触発されてさらに追加。
ブレインストーミングの4つのルール¶
① アイデアに対して批判・否定をしない¶
参加者が自由に発言できる場を守るため、批判や否定は控える。 違和感があっても、まずは客観的にそのアイデアに至った理由を深掘りする。
② 変わったアイデアを歓迎する¶
一見非現実的なアイデアにも、価値あるタネが潜んでいる。 突飛な意見こそ、秘められた可能性に目を向ける。
③ 質より量を重要視する¶
質にこだわると発言が萎縮する。 量を優先してルール①②を徹底することで、結果的にアイデアの質も高まる。
④ アイデアをまとめる¶
他人のアイデアに耳を傾け、そこから別のアイデアを生み出す。 分解・深掘り・改善で、シナジー効果を得る。
このあと(個人)¶
付箋を机に広げ、気に入った1案を選ぶ(30秒)。
6. ⏱ 7分|プロトタイプ:二つ折りスケッチ¶
やること(個人)¶
選んだアイデアを、A4を二つ折りにした紙にスケッチ する。
ポイント¶
- 説明より図解 — 矢印・吹き出しで動きを表現
- 例:「開く → カードが出てくる」「タップ → 残高表示」
- 太めのペン で勢いよく描く
- 綺麗さより 伝わりやすさ を優先
描き方のヒント
- 外側:パッと見の印象(閉じた状態)
- 内側:使い方のステップ(開いた状態)
- 重要な動作には 矢印と短い説明 を添える
7. ⏱ 7分|テスト:★(良い点)/△(改善点)のフィードバック交換¶
やること(ペア)¶
- 作り手が1分デモ — プロトタイプを相手に見せ、使い方を実演
- テスター が付箋に
★(良い点)と△(改善点)を 各1つずつ 書いて渡す - 2分経ったら交代
- 計 7分 で一巡
フィードバックのコツ¶
- 建設的に — 「いいね!でも〜」の順で
- 具体的に — 「わかりにくい」より「ここの矢印が何を指しているか迷った」
- "自分ならこう使う" 視点で感想を
8. ⏱ 5分|クロージング・次回予告¶
今日の振り返り¶
- 5ステップを 50分で1周 できた
- 1周で完璧になる必要はない — 回すたびに精度が上がる
次回からの流れ¶
来週からは 4人1組 になって プロジェクト を開始します。 テーマは 「学校生活の不便を解決するプロダクト」。 今度はお財布のような身近なものではなく、自分たちが実際に困っていること を題材にします。
参考文献¶
デザイン思考(2章 全般)¶
How Might We(4章 課題の定義)¶
ブレインストーミング(5章 発想)¶
- 東京大学IPC「ブレインストーミング(ブレスト)のやり方を解説!効果や注意すべきポイントもご紹介」 — 5章 ブレインストーミングの4つのルールの出典